合成燃料について調べてみた
電気自動車だけではCO2削減目標は達成できない
ボッシュが「CO2を減らすにはEVだけではなく合成燃料も必要」と考える7つの理由
環境保護の流れの中で、勢いを増しているのが電気自動車である。しかしTank to Wheel(燃料タンクから車輪まで)ではゼロエミッションだが、製造から廃棄までのWell to Wheel(原油採掘から車輪まで)を考えると事情は変わる。かつ、2030年に道路上を走る自動車のおよそ半数分はすでに販売済みであり、そのほとんどはガソリンもしくはディーゼルエンジンを積んでいる。既存の原動力を積んだクルマのCO2排出量をいかに減らすかを考えずに、パリ協定の目標は達成できない。そこでボッシュがひとつの解決手段に据えるのが合成燃料だ。
https://genroq.jp/2019/10/01/45098/
本家プレスリリース
https://www.bosch.co.jp/press/group-1708-06/
最近納車が進んだのかテスラのモデル3を1日に3回も見る日がありました。
ここ半年くらいでも急激に電気自動車へのシフトが強くなってきた感じがあり当ブログでも度々電気自動車関連ネタを取り上げてきました。
しかし、誰でも疑問に思うところだと思いますが、ガソリン車をすべて電気自動車に置き換えると今度は電力が足りなくなるところではあります。
徐々に置換し電池の効率化も進めるとはいえ、そもそも発電所の電気は液化天然ガスによる火力発電が主流となっています。
原発もできれば廃止したいところです。
本気で目的を達成し持続可能(サステナブル)な社会を目指すならいくつもの問題を解決する方法が必要です。
その一つ、気になる「合成燃料」について調べてみました。
合成燃料とは
石炭または天然ガスを加工変換(分解、再結合)しガス、常温液体にした燃料です。
バイオマス原料から変換することもでき、既存の燃料に混ぜ使用します。
一度変換するので経済性や効率性において不可とコストがかかっていますが、燃焼時のクリーン性が高くCo2を生産時のみと抑えられるそうです。
※補足で合成燃料源としてオイルサンドとオイルシェールも許可されているそうです
2008年の古い資料
https://eneken.ieej.or.jp/data/pdf/1699.pdf
Synthetic fuel
https://en.wikipedia.org/wiki/Synthetic_fuel
開発の歴史は古く、1913年ドイツ、フリードリッヒ・ベルギウスにより石炭に高温圧力をかけ混合物(※少量のスズもしくはニッケルのオレイン酸塩)との反応により水素に変換するベルギウス法が開発されたそうです。(1931年にはノーベル化学賞を受賞)
1923年には触媒反応を用いて液体炭化水素を合成するフィッシャー・トロプシュ法が開発されました。
変換するには鉄やコバルト等触媒が重要なようです。
第二次世界大戦中にドイツに燃料と潤滑油を供給するために広く使用されました。
すでに昔から実用されていました。
合成燃料 メリット
・既存の昔からある技術
・燃焼時の環境負荷低い
・触媒もコモンメタル(一般的な金属)
・材料も多岐に渡る
・既存のインフラおよびパワートレインに対応
・生産時再生可能エネルギーも活用できる
・車がEV化しても飛行機等ほかの燃料需要にもこたえられる
既存のインフラを使用でき、混ぜて使うことができる。
再エネルギーを使用し、CO2を削減しながら生産すれば効率的です。
穀物高騰を呼んだバイオエタノール燃料と違い石炭などの既存の資源を使用。
合成燃料 各自動車メーカー
ドイツ繋がりなのか、最近ではポルシェも採用を検討ということです。
ポルシェは最近、2022年までにほぼCO2ニュートラルな合成燃料の製造を開始する計画を発表し、大きな話題となった。
https://www.autocar.jp/post/651920
VWグループ、アウディ、ベントレーは合成燃料開発を進めている。
https://motor-fan.jp/tech/10001747
トヨタ・日産・ホンダが本腰、炭素中立エンジンに新燃料e-fuel
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/04262/
日本でも2020年7月、国内メーカーも研究開発に本腰。
メルセデスベンツは合成燃料に否定的
https://www.autocar.jp/post/518863
補足
ライフサイクルアセスメント(LCA)規制
2030年欧州ではEVで使われる電力に関しても発電時に排出されるCo2も規制の対象
https://www.sankei.com/premium/news/201216/prm2012160005-n1.html
炭素中立エンジンの切り札へ 合成燃料e-fuel、日系3社が注力
走行中だけを評価する現行規制ではCO2排出量がゼロのEVに、発電時のCO2が加わるわけだ。地域の電源構成によってはHEVと大差なくなり、EVに頼って規制をクリアする策を採りにくくなる。HEVなどエンジン搭載車の排出量を減らすe-fuelに、白羽の矢が立った格好である。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01516/00001/
水素でエンジンを回せ! 電気自動車(EV)への対抗勢力が勢い付いてきた背景を解説する(2020年8月)
https://motor-fan.jp/article/10015735
水素評議会にはBMWやヒュンダイも参加しているそう。
天然ガス・石炭液化燃料は中核技術で中国がリード(2017年4月)
https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/column/15/387120/033100036/
合成燃料と批判
エタノール等の酸素含有化合物がガソリンに混合されると、排ガス中の一酸化炭素、ハイドロカーボンは減少するが、NOx、アルデヒド、燃料蒸発ガスは悪化する傾向にある
燃焼についてはCo2だけではないので、混合の分量もまだまだ研究は必要です。
検索すると、
自動車メーカーが開発を進める「e燃料」はエコとは程遠い! その「中身」と本当の環境対策とは(2020年11月)
https://www.webcartop.jp/2020/11/609056/
という記事もありますが、筆者をみると
御堀 直嗣 現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。
とのこと。
上記と同じようにEVも電力を使用するので結局負荷はかかると同じ論で、合成燃料を製造するのは電力の無駄とおっしゃられていますが、どうもポジショントークな気がしてならないです。
既存のインフラだけだと軽油よりCo2を排出することになるそうですので、再エネルギー使用やバイオマス燃料と混ぜ合わせることがポイントです。
ですが環境負荷を軽減しながら持続可能の社会の実現が目的だとすれば合成燃料開発は無駄とは言い切れないと思います。
日本の場合は軽自動車も多く走っていますし、ハイブリッド車もすでに一般的です。
ハイブリッドまで禁止にする必要があるのか?と感じます。
お金儲けのためにルールチェンジという側面も指摘されるうさん臭さのあるCo2削減。
もちろん、環境破壊を進めていいとは多くの人は思っていませんが、極端な話、人類全員が文明を捨て原始時代のような生活に戻るのは考えられません。
一部の人のためのスローガンや啓蒙だけでなく、
環境に対するちゃんとした成果を出し、
既存のインフラも最大限活用し、
すべての人の幸福のため問題を解決するのが妥当と思います。